畑毛温泉の旅                2007.2.11

―――――――――――――――――はじめに−―――――――――――――――――
昨年末から個人的にいろんな出来事があり、精神的に疲れたので今年の囲碁合宿(場所・伊豆
の畑毛温泉)の下見を兼ねて温泉に行こうと、囲碁仲間に連絡したところ3人集まった。通常
伊豆の温泉は東京から行くと、熱海より南の方向行く事が多いが、今回の畑毛温泉は北の方
向にあり丹那トンネルの近くにある。

――――――――――――――――曽我梅林―――――――――――――――――――
新宿から朝スタートすると、畑毛温泉に行くには早く着きすぎるので、梅(曽我梅林)でも見てか
ら行こうした。小田急線で新宿から新松田に向かう、新松田駅(御殿場線では駅名は松田駅)
から乗り換えて曽我梅林のある下曽我駅に行くとき、
  
あまりにも乗り換えのお客が多く御殿場線の駅で、切符の販売が追いつかないため、目的地
についたら、「松田駅からきたと申告し、切符なしで乗車してください」と言われ切符なしで乗車
した本当に旅は非日常的で面白い。
   
曽我梅林のある場所は、昔源頼朝が鷹狩りをした折り、曽我兄弟が工藤祐経に対して仇討
をした場所で、現在は原・別所・中川と三つの大きな梅林がある、原梅林中に入ると連休の
せいか非常に混雑していた。

当日は流鏑馬(やぶさめ→馬にのり弓矢で的を射る競技)をやる事になっていたが、うまく時間
が合わず見なかったが、天気もよく梅の木の下で富士山を見ながら酒盛りをやった、普通は
2月だと寒いと感じていたが今年は4月頃の陽気でどこか気候がおかしい。

――――――――――――函南(かんなみ)・畑毛温泉―――――――――――――――
下曽我駅より東海道線経由で函南駅に出る、早く着いた。旅館G荘の迎えの車が来る
までに、40分ほど余裕があるので、駅のまわりを見て回った。駅の構内にはタクシーが3台
客待ちで停まっている、時々自家用車で人が出入りしているが、他の旅館の送り迎えの車も
なく静かだ。

周辺にはみやげもの屋もなく温泉街の風情はない。ともかく待っていると迎えの車がきた、運転
手の話だとG荘は源泉があり循環させるのでなく、かけ流をしている湯量をもっているのが自慢で、
源泉は37度Cで、源泉を湯船に引いているところと、加熱して暖めている湯船もあるそうです。

また畑毛温泉は盛況の時(バブル時)は10軒以上の旅館があつた、今では客が来ず廃業が
続き現在では6〜7軒になってしまつた、ともかくあんまり活気のない温泉だ、車は畑の真
ん中を通って坂道を上がり目的のG荘に着いた。

―――――――――――――――旅館G荘――――――――――――――――――
G荘は、今流行の日帰りの立ち寄り湯になっており、300円から入浴できる。着いた時は車で
来ているお客も多くフロントが混んでいた、説明によると、風呂は道路を越えたところに渓流に
そって露天風呂(混浴)と足湯、本館に接続し内湯と露天風呂があるとの事。

但し渓流側の露天風呂は午後5時で終了との事なので、急いで渓流沿いの露天風呂に男3人
入って見ると、湯船は手造りで湯船の中から駐車場の車が見えたり、足湯に入っている人の頭
が見えたりする、こんな露天風呂で入る人がいるのが非常に疑問である。

本館の内湯は温度別に仕切られていて、源泉の温泉は、非常に温度がぬるめで40〜50分
入っていると丁度温まるが、本館の露天風呂は夜に入ると寒さのため温泉がぬるくなり入る
人がいない。

――――――――――――大仙山(畑毛温泉の近くの山)――――――――――――――
翌日は旅館の近くを散策し、帰りは適当な路線バスに乗って帰ろうとした、旅館でもらった
地図(あまり目印などがはっきりしていない)を頼りに大仙山(167メートル)に向かう、ともかく
人に場所を聞きながら、畑と整備された河川に沿って大仙山の入り口やってきた。

山道を登りはじめると65歳ぐらいの作業服の男が登っていて声をかけたら、大仙山の話をして
くれた、それによると吉田耕作(大仙家という旅館→畑毛温泉で一番高級な旅館)の元経営
者の持ち山であった。
  
元の持ち主は、自分でブルドーザーを運転し舗装道路を整備し、仏舎利塔・鐘撞き堂(かねつき
どう)・聖徳太子を奉った造形物等を造ったが、維持できないので保存を市に依頼したとの
事でした。今歩っている舗装された道路も本人がブルドーザーで整地したという、10分ぐらい
一緒に話をしながらきたら石造りの仏舎利塔に出た。

その脇にある錆びたブルドーザーを示して、これで整地したそうだ、仏舎利塔は本当に立派
だ、寺でもないのによく造ったものだ、その脇に吉田耕作の碑がたっていた。ここで大仙山を
よく知る作業服の男は何かここで作業をするらしく別れ、私共は大仙山の上に登っていった。

すると色刷りで岩壁に大きくかかれた仏画がかかれていた、これもまた見応えがある、また少
し先には雨が入らないように屋根があり、囲いがしてある場所に聖徳太子の生い立ちが
年表順にかかれ、そばに聖徳太子像が飾られていた、

本当にすばらしい、そこらへんにあるお寺よりずっと優れていると感心しながら歩いていくと、
鐘撞き堂に着いた、鐘撞き堂の屋根は仏舎利塔と同じ材質の石を使い元持ち主の心意気を
感じる。

鐘撞き堂から少し上を見ると白い建物が見える、上がって見ると、法隆寺の夢殿を真似た
六角型の堂があり中には観音さまが奉られていた、本当に個人でこのようなものを造った財力
に感心し、吉田耕作という人物に興味を持った、帰りは函南駅まで歩いて東海道線に乗り
旅は終わった。

――――――――――――――――おわりに――――――――――――――――――――
今回の旅は、2月中旬とはいえ、通常だと寒く、寒さの中に陽が明るくなり、春が近づいて来る
感覚であるが、異常な天候のせいか早春がどっかにいって、いきなり春の世界に入っている。

一番驚いたのは、何にも期待しなかった大仙山の造形物だ、東京に戻ってきてインターネット
で、大仙山・吉田耕作を検索しても何もでてこない、畑毛温泉の観光案内でも宣伝されていな
いが、吉田耕作氏の大仙山の信仰と造詣の深さに頭がさがる。

温泉の感想は、37度Cと温度が低いので、入浴すると40分ぐらい湯に入る。イライラせず
ゆっくりと入浴すると、隣に入浴している知らない人と、お互いに暇なせいか、会話がはじまり
とても楽しい。

最後に、囲碁合宿の下見として旅館をみた時、一緒に同行した者の意見を総合すると、旅館
の基本としての朝の挨拶や、食事時の説明がされていない、いわゆるサービス精神が欠如し
ているので、別の旅館を捜したほうが良いとの結論になった。

<追記>
旅行から帰り文章化し、写真をまとめようとしたところ、ブルドーザー・吉田耕作の像・仏舎利塔
・鐘撞き堂の写真がとられていなかった、原因はわからないけど撮った時確認しなかった事を
反省しております。

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