十和田湖の旅
――――――――――――――――はじめに―――――――――――――――――――
東北の青森・秋田にまたがってある十和田湖を源とする奥入瀬渓流には、夏に学生の頃来て
銚子大滝の手前でバスを降り十和田湖湖畔の子の口まで歩いた事がある。最近では冬に新
幹線「はやて」が盛岡より八戸に延長したとき、バスで渓流を見ながら通った事があった、その
時からずっと奥入瀬をもう一度ゆっくり歩いてみたいと思っていたが、やっと念願を果たす事が
できました。
―――――――――――初日 東京〜八戸〜石ケ戸(奥入瀬渓流の入り口)――――――
東京発6時55分新幹線「はやて1号」に乗る天気は曇り、沖縄に台風3号が接近している上
に、梅雨前線が本州に横切っている、関東・南東北は雨が予想され目的地十和田湖周辺も雨が
降らなければ良いと、心配していた。
列車は盛岡を過ぎ厚い雲におおわれ山の景色もあまり見えないが、二戸駅を過ぎるころ、空
が薄雲になり視界も良くなって、少し天気に期待がもてるようになってきた。終点八戸に着き、
路線バスの十和田湖休屋行きのバスに乗り換えて11時50分石ケ戸に着く。
―――――――――――――――石ケ戸〜銚子大滝――――――――――――――――
石ケ戸は駐車場と売店があり軽い食事がとれる、聞くところ子の口(十和田湖湖畔)まで売店
がないとの事、ここで軽食をとり遊歩道に沿って歩いて行った。石ケ戸から子の口に至る奥入
瀬渓流は、大型バスがやっとすれ違える程度の広さの道路もあるが、川に沿って遊歩道が完
備されている。

川は段差が小さく、静かに流れている、その川の上にブナの木がこけむして倒れている、本当
に良い景色だ、静かに流れている川の水も岩などにぶっかるといままで透明な水が真っ白に
なって周りの緑と調和してとてもきれいだ。
圧巻は「阿修羅の流れ」と言われているところだ、川の水がいたるところにある岩にぶつかり白
く光っている、人生を川にたとえると、そこらじゆうにぶっかりながら生きている様に見えるし、
光らないで見えない部分もある、ともかく川の流れからいろんな事を意識させられる。

<参考>阿修羅とは
激しい闘争が行われている場所、あるいはそのような場所を連想させる状況の事
また言い換えると、善意と悪意が自己の内部で抗争していることで、苦悩する存在の事
なだらかな川の流れを見ながら進むと岩壁だ、中国のミニ山水画の世界を味わえる、しばらく行く
と左手に「雲井の滝」が見える、滝は岩盤を三段に折れて流れていて全体が大きすぎてカメラに
入らない、水量はあまり多くはないが見応えはある、歩き始めて2時間景色は川の流れ・滝・樹
木・シダ類の草などひとつひとつは絵になるほどすばらしい景色である。
だが、まことに贅沢な話であるがこのすばらしい景色が少し単調で飽きはじめ、バスの時間が気
になり始めたので銚子大滝で銚子大滝を見ないでバスを待つ事にした、5分遅れで路線バスが
来たのでバスに乗り休屋に向かった。
――――――――――――――銚子大滝〜十和田湖休屋〜ホテル――――――――――
バスは子の口に入ると、十和田湖が見えてきた、やがて終点の休屋に着いた、ここは十和田
湖で一番にぎやかだと言われている、湖の遊覧船がとまっていたがあまり観光客はあまりいな
い、大きな売店でさえ開いていない店もあり、静かで私どもは助かるがいまひとつ活気がない。

しばらくするとホテルからの迎えの車が来て、15分ぐらい湖に沿って奥へ入りホテルに到着
した。このホテルは十和田プリンスです、湖のそばに位置し緑の芝にかこまれた2階建てのホテル
で、感心したのは立地場所が非常にすぐれている事である。
ホテルのロビーからの景観は緑の山々が見え、道路も他の建造物が見えず、すべて自然の
中に存在しているように思える。湖面を見ると上から見るのでなく、目の高さで緑の芝生・白樺
などの樹木を通し見えるからすばらしい景色である。
(日本では、湖面を見おろす所はあるが、目の高さから湖面が見えるところは少ない)
――――――――――――――2日目ホテル〜休屋〜八戸――――――――――――――
ホテルでは希望者に早朝散歩の会を開催していたが、スタート時間が早いので単独で湖の脇
の小道を散歩してみた、散歩の目標としてホテルの案内板にある礼拝堂に行ってみた、ホテ
ルで案内をしているくらいなので、白いチヤペルの礼拝堂で結婚式でもできる場所だと思って
いたが全然違っていた。

歩いて15分礼拝堂が林の中にあった、見ると村の社(ヤシロ)で鎮守様を奉るような木造の小
屋があり、そこに十字架が飾ってあったが、戸が締まっているため中を見る事ができなかった、
中にはたぶんキリストの像でもあるのではないかと思われる、日本人が神様のいる場所造ると
社(ヤシロ)みたいなものになるのかと勝手に想像し面白かった。
礼拝堂からホテルに戻り朝食後ホテルの車で休屋まで送ってもらった。ここからは八戸まで乗
り合いの車だ、ワゴン車を覚悟していたが、他にお客がいないためタクシーが迎えにきてい
た、貸し切りと同じ状態なので、前日あまり見られなかった銚子大滝で途中下車したり、行き
先を八戸駅のかわりに八食市場に変えてもらったりし、好き勝手に乗せてもらった。
八食市場は八戸駅より車で15分ほどのところにあり、野菜・海産物・地酒の販売・食堂などが
完備され大きさは釧路の和商市場に匹敵する、なにより感心するのは店がきれいなのと、
八戸駅と結ぶワンコインバスの運営だ、これは片道100円払えば乗車できる非常に便利な
もので、調布市とか府中市が走らせている市内バスも、この心意気をもって運営したら市民に
感謝されると思う、帰りはこのワンコインバスで八戸駅に戻った。
――――――――――――――――おわりに――――――――――――――――――――
旅はいいですね! サッカーの中田選手はホームページの引退宣言の中で「人生とは旅であり、旅
は人生である」と言ったが、旅とはそんなに難しく考える必要がない、日常から得られない人の出
会い・景色・歴史・物等が体験でき・味わえて、自分が活性化でき、新らたな元気が出てくれば、それで
良いと思う。
<追加>
今回は皆さんに推薦するためにホテル名を出しました、食べ物は別としてホテルからの湖の
景色は本当にすばらしいですよ。
―――おわり―――
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