散策会の報告(東大、上野界隈) 石田 晴康
平成19年4月1日
花見に誘われて、上野界隈に繰り出した。 メンバーはいつもの三人組み。
まず、地下鉄 本郷三丁目駅で降りる。 地上に出ると、ビルの立ち並ぶ、
交差点にでた。雑然とした町並みは、東京のどこでもあるようなコンクリートの
ビルと道路のアスファルトに囲まれ、潤いを感じない。 車の通行の音で喧しい。
すりガラスをつめでこするときに聞くような苛立ちを覚える空間だ。
ここから、北へ進むと右手に東京大学の赤門を見る。
さすがに、名所だ、観光客らしき数人が写真を撮っていた。 我々も撮った。
江戸時代からの歴史を感じる門だ。
予定では東大構内に入ってみるつもりはなかったが、ついでだ、入ってみようと
いうことになった。 結果的には、これがよかった。
赤門の内側に入ると、幅広い道路を挟んで、落ち着いた古い建物が並ぶ。
駅からの国道と比べて、ほっとする。 御茶ノ水の日大の校舎群と比べて、
ゆとりを感じるところがいい。
赤門を入って、左手に進むと三四郎池に着く。
大学内の池だから、どこかの旧家にあるような小さな池かと思ったら、
結構広い池で、一周するのに数分はかかる広さだ。 周りには、木々が生い茂り
森になっている。 ここは都会の喧騒は聞こえず、小鳥のさえずりが聞こえる。
静かだ。
この周りに、校舎が立ち並んでいる。 古い建物が気持ちを和ませる。
今日は学生が行き来しておらず、休日の構内らしい静けさがある。
南方面に進むと、日本の城にあるような、かわら屋根に白い土壁の建物があった。
剣道部の道場に使われていて、気合の声が聞こえる。
その近くに、桜並木があった。 ちょうど満開のときで、まわりの風景に
マッチしていた。 いいときに来た。 得をした気分だ。
桜の下で、いくつも酒盛りの輪ができていて、にぎやかであった。
東大病院の前を過ぎる。病院の古い建物の正面の壁に大きな彫刻が施してあった。
なんとか遺産に保存されても、いいような品格があった。
次は、湯島天神に向かう。 東大から歩いて、15分くらいのところだ。
今は、受験シーズンが終わって、少ない方だ。 さすがに、絵馬が鈴なりに
なっていて、湯島ならではの光景だ。 合格したら、お礼参りをするとは
知らなかった。
湯島天神の裏手に、旧岩崎邸がある。現在は都の施設で公開されている。
私が以前来たときは、洋館が改修中で、見学できなかったが、今回は
ここも見学できる。
入口から両側に木の茂った長い坂の道を登る。
神社の参道を進むような雰囲気で、気持ちがあらたまる。
洋館の正面に出た。
スリッパに履き替えて洋館に入る。 さすがに室内の暖炉や壁、天井等
内装は特注したと思われる凝ったものばかりだ。
壁は凹凸のある豪華な模様である。 ランプも壁の模様に合っていて、
雰囲気を出している。
バルコニーの天井からランプが下がっている。 天井の木組みの模様と
ランプが調和している。
洋館に続いて、日本の屋敷がある。 洋風、和風を持つ屋敷は明治時代の
和洋折衷文化をよく表している。 縁側から下に降りるための石は一枚で
畳一畳もある大きなもので岩崎家を感じさせる。
屋敷を出ると、周囲を木に囲まれた広い芝生の庭にでる。
ここで、見学した人々が休憩していた。 白いテーブルと椅子が似合う庭だ。
洋館の隣にビリヤード館がある。 ビリヤードと岩崎家との間に違和感を
感じるが、当時は、ビリヤードが上流階級の高尚な遊びだったのかも。
この館の外観が法隆寺の正倉院を連想させる。 他に見たことがない様式で、
なかなか貴重な建物だと思う。
ここから横山大観博物館を目指して不忍池を通る。 花見で、道いっぱいの人で
あふれている。雑踏で、のろのろと歩く。 最近、こんなに大勢の人出を
みたことがない。昔の盛り場を思い出す光景だった。
しかし、横山大観博物館は今日は閉館であった。道路側から見たところ、
古い住宅を博物館にしている。 注意して探さないと気が付かないような、
ひっそりした家であった。休館なのでここはあきらめよう。
それでは、森鴎外の史跡を見せようとA氏が案内してくれた。
動物園を横切る道を進むと、ホテルに来た。 この中にあるとのことで半信半疑で
ついていくと、ホテルに中庭があり、そこに森鴎外の屋敷があった。
ビルの中庭に木造平屋の家があるので、驚いた。
A氏はさすがに史跡に詳しい。
その後、居酒屋に行くことになった。しかし今日は、花見の人出で、
上野方面は店に入れないだろうと思い反対方向に行くことにした。
だれも、ここらへんの飲み屋に不案内のため、思いつきで歩き、
結局 根津を通り、白山まで行ってしまった。
今日はよく歩いたよ。