散策会の報告(銀座界隈)      石田 晴康

 今回は、銀座界隈を探訪する。 銀座はめったに行かない所なので、
なにか、珍しいものがあったら見たいと期待はする。

 地下鉄の銀座駅で降りる。 ここは、昔から変っていない。
地下道から松坂屋方面の出口で、地上に出る。 3月といっても、
日差しが強く、緑がわずかな通りは道路とビルの照り返しで、暑いくらいで
あった。

 この日は、歩行者天国になっていたので、道路一杯に人通りがあり、
ひさしぶりに、人込みの活気を感じた。 

 リヤカーで物を運ぶところを目撃する。 ここら辺は車の往来が激しく、
駐車するところもないので、便利なのだろう。 銀座という現代的な町並みとの
コントラストが面白い。

      


 ここから、ニコンプラザ銀座へ向かう。 あらかじめ調べた地図を頼りに進む。
ニコンの大きな看板があるわけではなく、周りの景色に埋没した感じであった。
うっかりすると通り過ぎてしまいそう。 銀座の雰囲気に合わせた、建物であった。
写真は入口での写真展の案内。


      


 店内はニコン製品の展示がしてあり、その奥に、写真展会場があった。無料。
ちょっと敷居が高い雰囲気がある。 この時は、広瀬美紀さんの作品展であった。
テーマは「Requiem 東京大空襲」。ちょうど、東京大空襲がテレビで話題に
なっていたので、余計関心をそそられる。

 写真の多くが空襲を生きのびた人の写真であった。 戦後60年も過ぎると
戦争の傷跡を見つけるの難しいので、このような写真に構成されたのだろう。
私も練馬にいたので、空襲のことは、わずかに記憶にある。 戦争の恐ろしさを
今の時代に表現するには、写真では限界があるなあと感じた写真展であった。

 次は、キャノンギャラリー銀座へ向かう。 ビルが林立する中で、ねじれたビルを
発見。 似たようなビルばかりでは、目立たず、注目されないので、この様な
ビルが作られるのだろう。 

     


 地図を頼りに、キャノンギャラリー銀座を探すが、それらしき建物が見当たらず
うろうろする。 周りにこの辺に詳しい人はいそうになく、写真材料屋さんに
聞いてやっと場所を特定できた。 わりに狭い道沿いにひっそりとあった。
ここも、よく確かめながら行かないと見逃すようなところであった。

 田邊和宜さんの写真展が開催されていた(無料)。 都会の生活の中での美的視点で
撮った写真であった。 強い日差しで出来る影の造形に引かれている作家のようだ。
しかし強い印象が残る写真はなかった。 今後の活躍を期待しよう。


     



 ここから、有楽町方面に向かう。 またまた、面白いビルを発見した。 10階位の
ビルの正面側全体が大きくうねっていた。 せせこましい道沿いのため、そのつもりで
上を見ていないと見逃してしまう。

 


 相田みつを美術館に行く。 東京国際フォーラムの建物の地下にある。
相田みつをの本は自宅にあったので、その作風等は知っていた。たまたま、早朝の
NHKのラジオ深夜便を聞いていたところ、相田みつをを息子さんが語っていた。

 その生い立ち、人柄、信念を聞き、お寺の管主でもない普通の人が悟った人生観だと知った。 
足利にいて、書や画で生計を維持するするのは、大変だったろうと想像する。
その中で、日常生活で得た人生感が一般人の共感を呼ぶのだろう。
それで、より親しみを感じ、もう少し詳しく知りたいと、ここを訪ねた。

 相田みつをを知っている方は多いと思うので、くどいと思われたら、ごめんなさい。

 人生の心の持ち方を俳句のように凝縮して、独特の表現をするうまさは、
今までになかったように私は思う。
書道で表現する方法も、見ている人を引き込む気迫を感じる。
道元禅師の「正法眼蔵」を愛読していたというのも大きく影響していたのだろう。

「正法眼蔵」を以前読んだことがあったが、難解で、歯が立たなかた記憶があったなあ。

 有楽町から、日比谷公園に向かう。 皇居の石垣が見える通りを進む。
途中で、第一生命ビルを発見。 皇居を目の前にした周りを威圧する外観を見ると、
マッカーサーが天皇をおれが支配するという意志を感じる。
ここに本部を置いたのも、頷ける。

 日比谷公園で休憩した。 ビルに囲まれてはいるが、林の緑が心地よい。
平日の昼休みは大勢のサラリーマンやOLの貴重な休憩場所となるのだろう。 

 日比谷から、歩きながら新橋に来た。 まだ、5時前で、居酒屋は開いていないようだった。
道路でビラを配っているお兄さんに誘われて、その店に行く。 道路でみたメニューの料金と
店内の料金が微妙に違うのではないかと、ぶつぶつ言って、一杯やった。


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 <私が好きな相田みつをの言葉>

  受身 負ける練習
 柔道の基本は受身
 受身とは投げ飛ばされる練習
 人の前で、叩きつけられる練習
 人の前で、ころぶ練習
 人の前で負ける練習です。

 長い人生には、
 カッコよく勝つことよりも
 ぶざまに負けたり
 だらしなく恥を
 さらすことのほうが
 はるかに多いからです。

 だから柔道では
 始めに負け方を教える
 しかも、本腰を入れて
 負けることを教える

 その代わり
 ころんでもすぐ起き上がる
 負けてもすぐ立ち直る
 それが受身の極意
 極意が身につけば達人だ

 そして
 負け方や受身の
 ほんとうに身についた人間が
 世の中の悲しみや
 苦しみに耐えて
 ひと(他人)の胸の痛みを
 心の底から理解できる
 やさしく暖かい
 人間になれるんです。