旧安田楠雄邸庭園   2013.07.25 天笠 富夫

 

 この場所を知ったのは、本郷の近くにある、日本医大病院に行った時、時間があるの

で、地下鉄千代田線の千駄木方向に散歩していたとき、木製の古い門構えの家があり、

閉まっていたが、看板には、東京都指定名勝「旧安田楠雄邸庭園」と掲げられ、見学日

は、水曜・土曜日10:30〜16:00と書かれてあった。

 

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いつも開放しているようではないので、随分格式のある家らしい、安田邸となっている

から、旧安田財閥と関連があるのではないかと気になっていたが、また、水曜日に本郷

にくる機会があったので寄ってみた。

 

 

 

 <旧安田財閥>

    創始者 安田善治郎は、富山藩の足軽の息子として生まれ、

    1858年(安政5年)に江戸に出てきて、玩具屋についで

    鰹節兼両替商に勤め、やがて安田銀行(後の富士銀行)・

    損保会社(現在の損害保険ジャパン)・生保会社(現在の

    明治安田生命保険)・東京建物などを次々設立した。

 

門から中に入ると武家屋敷のような玄関があり、玄関の前で入場料500円を支払ったら、

複数の番号札が入った袋をくれた、この番号札で靴の整理、手荷物預かりの整理をおこ

なっていた。手荷物は、建物の壁及び掲示品などに、ぶつかって傷をつけないようにする

ため、貴著品を除き全部預けられ、その上、畳を傷つけないように、靴下着用が必須に

なっていた。

 

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入口は右に内玄関、左に玄関で、玄関から入ると式台(玄関の土間と床の段差が、大きい時

設置される板{石})があり、玄関には次の間が準備されていた、まるで武家屋敷のようだ。

 

ガイドさんによると、ここの建物は、大正8年に(1919年)に、豊島園の創始者である実業家

・藤田三郎氏が建築したもので、大正12年(1923年)に旧安田財閥の創始者安田善治郎

の女婿・安田善四郎氏が買い取り、平成7年に当主(善四郎氏の息子)の楠雄氏が亡くなる

と、幸子夫人が平成8年に建物と庭園を公益財団法人日本ナショナルトラストに寄贈した、

その後週2回一般公開されているそうです。

 

 

靴はぬいで、玄関より中にはいると、昔の電話機が置いてあった、平成まで使っていた

とはおもえないがなつかしく感じる、その隣は内玄関で安田家の家紋及び美術品のよう

なふすまが置かれていた、ともかく古い家であるのが認識されるが、それだけでなく照

明ひとつとっても、表面に電線がでていないで、柱の中に隠されている、非常に洒落

ている。

 

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更に奥に行くと広い洋室があり、今の時代でも通用するような部屋だ、暖炉用ガススト

ーブと丸テーブルがある、この丸テーブルのわきにかがり用の洒落た火鉢がある。この

テーブルをよく見ると、通常のテーフルの上にガラス製のテーブルが乗っていて、

スペースをうまく利用するのには非常に面白いと思った。

 

洋室が庭に接する面には、広い板敷きの広場(通路)があり、庭には、灯籠とか樹木

をゆっくり鑑賞でき落ち着ける。現在は広場にはテーブルが置いてあるが、昔は卓球台

が置いてあったと言われている。

 

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1階の和室は洋室の奥にあり、廊下でつながっていた、廊下は板の間と畳の間と分かれ

ている、板の間は居住者用、畳の間は来客者用と分かれて使用していたみたいで、この

廊下を通って奥の和室に行くと、ガイドさんから、

 

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この和室は、今は畳で被さっているが、この下に、防空壕の入口があり、石造りの部屋

があり、現在は手入れが必要なため、見学ができません、また防空壕の中から庭に出る

出口があったという。

 

 

和室に面して、昔は仏間があつたらしいが、開放されていなかったが、同じように和室

に面してある浴室及び台所は開放されていた、大正8年に造った割には、台所の採光な

ど考えられていて、近代的にできているのには驚かされる。

 

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ここより階段を上り2階に行く、2階はすべて和室で、床の間もあり、床柱もしゃれてい

る、部屋全体を見渡すと柱が少なく良く支えているなと感じがする、また窓辺を横に支え

ている木は10メートル以上あるつげの木らしい、今調達すると莫大なお金が、かかる

かもしれない。

 

 

 

 

 

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その他いろいろ建物に細工をしてあって、文章にうまく書き表せませんが、あまり建物

の見方がよく分からない私でも驚かされる発見がある。

 

庭園は四季それぞれ楽しめますが、しだれ桜の咲く頃と、紅葉の頃が特に良いみたいです。

興味のある方は是非見に行って下さい、お勧めします。

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