夏油温泉旅行記(追悼作文) 2019.10 吉田頼平
○はじめに この作文を書いた、吉田頼平さんは、7月27日に呼吸不全で亡くなりました、年齢 81歳です、彼の写真を整理していると、預かっていた作文の原稿がでてきましたの で、掲載します。
○本文 時期は、2009年(平成21年)11月5日です。 □出発 バスツアーで3泊4日、夏油温泉(岩手県の山奥)へ囲碁仲間3人と行った、秘 境温泉だけあって、バスで8時間かかるのには参った。新宿午前8時発、現地4時 着、山の日が暮れるのが早いから当日は、何もしないで過ぎた。
□夏油温泉の紹介 途中の紅葉は美しかったが、温泉地はすでに葉が落ちていた、夏油温泉の営業は 11月中旬で終わり、人は引き揚げ、雪が溶ける5月の声を聞くまで、人を寄せ つけない、まさに秘境である。
ここの伝説には、いろいろあるが、昔、鬼の片腕を切り落とし、その腕を箱に収め 自室に置いとくと、叔母に化けた鬼が訪ねてきて、箱をつかんで逃げ去った、後日鬼 は、夏油の湯で片腕をつなぎ、戻す事ができたと言う。
この温泉場は、旅館が3軒で、主に湯治客が主流らしい、この旅館は、露天を含め て7カ所の温泉を楽しめる、一番大きな旅館だ。源泉は、掛け流しであるが、ぬるか つたり、熱かったり、時間で男女別々に入浴したり、混浴だったりしている。
□Iさんの話 昔、一緒に働いた友Iさんが、岩手の実家に戻っているので、連絡すると、地元の 勤務先から年休をとり、宿泊先まで会いに来てくれた、15年振りの再会であった。
昔のままで少しも変わらず、元気で一緒に露天風呂に入り碁をやったりし、ゆっくり 話ができた。
Iさんには、子供が3人いて、2人は独立して世帯をもっている、1人がハワイに 英語の勉強に行っているとの事でした。
Iさんは、山好きで、今でも100名山を目指して登って、すでに92の山を登って いるとの事、100名山を達成したときは、祝賀パーティをしようと語っていた。
又興味深い話をしてくれた、ある農家を丸ごと買う話で、畑・田んぼ・農機具一式 ・山林込みで、450万円で買う約束したが、契約の数日前に相手の人が亡くなり 話しが流れてしまったと残念がっていた。本当に I さんは、「純で」岩手県を代表 するような素敵な人である。
夏油温泉 大湯(絵 吉田頼平さん作)
□バスツアーのメンバー バスツアーであるから、いろんなタイプの人が集まっている、中に4人連れの グループいた、この中で一人がどうも男の様でも女の様でもない、そうオカマで、 顔・声も女性、近づいてみると、ヒゲが少し濃い程度で、どうみても女性であった。
どうでも良い話であるが、気になって仕方がない。偶然内風呂で一緒になり、風呂で 女性用更衣室を利用するか、男性用かと期待してワクワクして見守った、男性用で 「えっ」と思ったものであった。
他の旅行客には、83歳の男性が、他の登山グループの後について山登りを始め た、生きているだけでもすごいのに、ともかく驚いた。
又、一人で旅を楽しむ人、夫婦連れの人、我々みたいに常に騒がしく喋るグループ みんなそれぞれであった。
□北上市 一日中、大自然と温泉三昧で、それなりに満足しているが、すぐ街の灯が恋しく なり、次の日に、一日に二往復しか出ないバスで、北上市に出かけた。北上駅の観 光案内所で見所を聞いた。
町はずれの北上川沿いに「サトウハチロウ記念館」・「民族博物館」やいくつかの観 光場所がありパンフレットをもらい検討して民族博物館に行くことにした。
入口には、ボランティアの人が「良かったら館内を案内します」と声をかけてくれ たので、一緒に説明を聞きながら楽しむ。
中には、大昔からの貴重な資料・建物、時間があれば、一日を過ごすには最適な 場所である。又ここは、夏場は、ここから舟下りがあるらしい、川が広く最高だと されていて
町に戻り観光センターで土産を買い、とっても感じのよい町だった。岩手県 は田舎だと馬鹿にしていたが、観光化されていて、現地を訪ねて深く反省した。
□その他 我々は囲碁仲間、夜は当然温泉に入る以外は、飲み食べながら碁をするのである、 勝ち負けより、飽きずに50局は対戦した、不思議に時間があれば、もっと つづけたいのである、ここは山奥携帯電話が使えない、テレビは映りが悪いが見え る。
市橋容疑者の整形の話、詐欺女が男性達に金を盗られたあげく殺されるという 事件にうんざりだ、考えてみると市橋容疑者があちこちの都会に現れて、堂々整形 をしているのに、日本の警察は優秀であるが、捕らえられないのが不思議であるが 真相を早く知りたい。
終わりに夏油温泉は、冬は3メートルもの豪雪のため、半年間だけの営業で、この旅 館を代々守っている経営者の苦労を考えると、温かいものを感じる。 良い旅ができた事に有り難うと言いたい。 ―――END――― <追記> この旅行に参加したのは4名、10年前の事でした、その内 3 名が亡く なり、参加者で残っているのは、私1名です、人生は短い、時間があり そうでない、やりたい事があったら、やっていこう。
考えてみると、無趣味な私にとって、吉田さんは、色々な事を教えて くれ刺激を与えてくれた、師匠でもあった。
趣味の一部を紹介すると、旅行・登山・釣り・卓球・囲碁・作文・英 会話・株・競馬・競輪等多彩で、幅が広く、各趣味には、それぞれ 友達がいて周りを楽しくしていく珍しい人でした。
寂しいですが、今後、このような人にはもう巡り会えないかもしれな いと思っています。 天笠
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