塩原温泉の旅            2012.12.21 吉田 頼平

 

 囲碁の友と2泊3日のバスツアーに行く、箒川の支流鹿股川沿いに80年の歴史

を持つ老舗旅館明賀屋本館にお世話になる、山沿いに3軒の旅館があるが、一軒は

廃業で前にパチンコ屋の看板が当時の全盛期の名残を残し淋しくぶら下がっている。

 

宿に着くとまずは、露天風呂へ、これが谷川沿いにあるから大変、急激な階段を8

8段下るのである、とても酔っては危険。混浴と聞いていたが、男の脱衣場に40代

の飲み屋風のいい女が裸で寝ていて、私を見て慌ててタオルで隠すので慌てた私で

あった。

 

露天風呂は渓谷沿いで雪が降り出し岩風呂からの眺めは、風景画の中にいる感覚、

旅人の心を癒してくれた。ふと川を見ると岩魚らしいのが泳いでいる姿を見て、昔

渓流釣り師だから無性二棟がときめくのであった。

 

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夕飯まで碁の戦いが始まるのである。気分だけは、プロ棋士で、普段はザル碁でも

今日は一戦一戦が真剣勝負と言い聞かせたが、結果は何も変わらず、ただひたすら打

ち時間だけが過ぎた。

 

待望の夕食、山菜や岩魚の刺身いろいろな料理が並びビールで乾杯、宴会場は三階で

バスツアー客の高齢者がグループ別に座り接客係の女性が話しを盛り上げ楽しい

雰囲気であった。部屋に戻ると只ひたすらに迷人戦、疲れると内湯の温泉、出ると

又碁である、テレビをミルでもなく、家の事も知らず、外は雪が降り静寂。

 

次の朝、鳥たちのさえずりに目覚める、88段の階段を考えると、ちょつと億劫に

なるが、露天風呂へ雪が激しく降り素晴らしい眺め、風呂の中からスケッチをしな

がら長い時間湯と自然を楽しむ。

 

今日は宿の弁当持参で塩原市内を散策、まず宿の車で町へ、箒川を中心に大小の

旅館がある、大きなスーパーが目に入り飲み物やおやつの買い物をしょうとする

と入口に倒産の張り紙、他にスーパーはない、ここに住む人々の生活や食材の

仕入れ事など要らない心配をするが、今の塩原温泉の姿を見たような気がした。

 

ここに日本一の足湯「湯つ歩の里」がある、莫大な金を費やし豪華に造り一度に

100人以上が利用できる。とりあえず体験、池を囲むように屋根付きの足湯

の施設で建物は総檜造りで立派、足場楽しんでいると、ちらほら雪が舞い風情

ある。

 

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箒川の渓谷沿いの散策を楽しむが観光客の姿なくこんなに素晴らしい自然があるのに

町全体に活気がない、みやげ物屋も閉まっている、もう4月に近いのに今年は寒い

今日も雪が降るくらいだから、寒く飲み物のもつ手が凍えたのである。

 

 

今日も雪が降るくらいだから寒く飲み物のもつ手が凍えたのである。高い吊り橋を

渡ると足元の隙間から眼下に激しく流れる川をみながら怖々渡りスリルを楽しんだり、

塩原温泉ビジターセンターによつたりし時間だけが、あっと間に過ぎた。

 

ぶらぶら宿まで歩き風呂に入り一杯飲んで食べて碁を飽きずにやり気がつけば今日

も終わり、時間は嫌な時は遅く良いときは早いものだ、明日の午後は帰るので

あるから淋しい。次の日は近場の雑木林の中からわき出る無人の露天風呂にのんびり

楽しんで旅を締めた。

                         ―――終わり―――

                     (2012.3.25〜27)

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