私とボケ 2010.10.30 吉田 頼平
最近やけに物忘れ物が多くなった、定年後シルバー人材の仕事で学校管理をしていたが、 緊張感があったせいかボケの気配はあまりなかった、年一回の健康診断で前立腺ガンが判 明、余命何年と考えた時、仕事などしている場合ではないと仕事を辞めた。
それ以来、目に見えて忘れものが多くなった、例えば家を出て車に乗ろうとすると鍵がな い財布がない、用事を頼まれ忘れる事が度々でその都度、妻の一言がしゃくにさわる。 「またボケがすすんでいるのと違うかね、病院で診察してもらったら」その時、私は言う
「男の意地だ、二度と忘れない」でも同じ事を繰り返すので、私自身ボケと悟ったのであ る、例えば私の好きなが囲碁をする時対局カードに対戦相手名と日付記入するのであるが、 日付がわからない、対戦相手の名前忘れてしまう有様である。
私に住み着いたガンは、大人しいやつで、すぐに命に別状がないので、最近また仕事を始 めた、大きなビルの駐輪場の管理の仕事である。これでボケに決別すると期待したが、全 くその気配はないのであるが、毎日大勢の人々と出会い気分よく仕事が出来るのに満足し ている。 特に好きなのはお母さんの自転車に一緒に乗ってくる小さな子供たち、挨拶がてらに声を かけると素敵な笑顔で返事が返ってくる、人間とは不思議である、同じ女優の南田洋子は ボケになってしまい森光子は元気で活躍している。
そう、これからはガンとボケと共に仲良く暮らす事に決めたのである。
川柳 囲碁とかけて卓球ととく、いくらやっても上達しない。 ―――END―――
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