童話「三姉妹」 吉田 頼平若い母親のおなか中に三人の赤ちゃんが元気に遊んでいた、そこに神さまが来て「皆さんもうすぐ知らない世界にいくが、願いがあれば叶えてあげる」と言いました。長女は美人で次女は利口さんで、三女は別になにもいらないと言いました。暫くしてオギャアーと 産声をあげて三姉妹は誕生しました、三姉妹は成長して10歳になりました、長女の名前は美智子で映画の子役とし活躍し、次女は智子で学校創立以来の秀才でした、三女は末子 で姉さんたちが常に両親・友達・世間から注目された反面、末子は誰からも相手にされず どんどん悪い子になっていきました。そして人の物を盗んだり、喧嘩をして遂に相手に大怪我をさせたりして、中学時代は少年少女鑑別所暮らしになりました。そこは厳しい規律の生活で末子にとって週一回のクラブ活動が唯一の楽しみでした、末子は歌が小さいころ から好きだったので仲良し三人組でバンドを作り日頃の苦しさから逃げていました。バンド名は「監獄三人娘」と呼びました、彼女たちはいつか悪い事反省して、歌謡界にテビューを夢みて練習に励んでいました。彼女等は真面目になり一年後元の世間に戻ってきまし た、そして早速歌手活動を開始した、まず駅近くの空き地で歌い踊り続けた。十代の若い娘が一生懸命歌う姿に通行人は好奇心の眼で見守っていた。雨の降る日はスーパーマーケットの片隅を借りてやった、また三人は世間に対しての恩返しとして月に一度病院でボラ ンティアコンサートを、時々孤児院に土産を持って訪れ、子供たちの人気ものでした。やがて18歳になりました。美智子は子役から主演女優となり次々に映画をヒットさせた大女優です、また智子は現役で東大の医学部に入学しました。
末子は相変わらず歌手生活「監獄三人娘」はあちこちの街の路上が活動場所でしたが、現実は厳しく、いつグループを解散しようかと考えていましたが、どうせやるなら日本中の孤児院を訪問して子供たちに夢を与えてから、その時解散を考えようとしました。 いよいよ三人娘の旅が始まりました、どこの孤児院でも子供たちの輝く瞳に出会い自分達が不思議なエネルギーをもらいました。こうして早いもので四年の歳月が流れて、北海道から沖縄までの旅は終わりました。何の未練もなくすっきり解散するつもりであったが、 ある地方新聞が「監獄三人娘」についての記事を載せると、たちまちそのニュースが広がりTVの音楽番組の出演の話が舞い込んで歌ったのがきっかけでレコード会社からの誘い がきたので、本格的な歌手の道に進み名前の「監獄三人娘」から「夢の三人娘」に名称を 変更して若い人たちの気持ちをつかみ人気を得ましたが、決してボランティア活動だけは忘れる事なく続けていました。一方大女優の美智子は男関係が多く、常にスキャンダルでスポーツ新聞の記事になっており、その末に麻薬に手を出して逮捕され晩年は落ちぶれ た姿になってしまいました。智子は東大の医学部を首席で卒業して有名な病院の外科医として活躍して数年後外科部長を経て院長になりましたが多忙なため恋いをするチャンスもなく独身のまま医学に情熱を捧げました。末子は三年後グループを解散して歌手をやめて 結婚をして三人の母親になりました。神さまは遠くから様子を見て「私がよけいな事をした事を反省するが、これが人生なのだ」と言いました。 ――――END――――― |