足利の藤                  2009.05.06  吉田 頼平

五月の連休に足利の藤を見に友と行く、浅草から東武線の特急に乗り、座席を動かして向かい合わせにすると、対面しながら話しができるので列車の旅の良さを見直した。車窓からの景色を見たり話をしていたが、何気なく反対側の席一つ先に大柄な若い女性が二人い 

た、通路側の女性の右手に持っている用紙にはマス目の上に豆粒くらいの白と黒が描いてある、どうも気になって盗みをしていると囲碁の初歩の基礎で「石の生き死に」が書いてあるようだった、子供や年輩の女性なら趣味として囲碁を習うのであれば納得するのであ 

るが、若い女性が何故囲碁を覚えるのか不思議であった。私は若い頃囲碁を覚えた、それから50年今でも時間があれば楽しんでいるが、上手にならないから不思議である、先日囲碁のプロを目指す「囲碁の虎の巻」の本を手に入れたが、碁の神様が作った虎の巻であ 

ると言われている、もしも私が習いたての時に手に「囲碁の虎の巻」が入っていたら東京代表ぐらいの実力になっていたかもしれないと思っている、私はこれから碁を習う人に「囲碁の虎の巻」を公開しょうと思っていたので、持参したスケッチブックの画用紙に 基盤を 

描き内容を書き終えたが、車内放送によると次の到着駅の足利だと放送があり、慌てて下車準備をする、そして彼女達の前で「これをあげる」と言って「囲碁の虎の巻」の写しをあげたから、彼女達は突然知らない人からの贈り物に迷惑顔であったが、内容を理解し「有り難う」との声を後ろで聞きなから足利駅に降りた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 旅の目的地「足利フラワーパークの藤は」樹齢140年の大藤が二本、日本一だけあってその美しさは見る人の心をとらえる、また白藤の回廊は神秘の中に迷い込んだ気分だった。この他にもたくさんの花が咲き、その美しさを競い合っていた。藤の花が日本一でこの季 

節の入園料が1500円で藤の花が終わると、この公園の入場料は格安となるという、観光バスがどんどんきて園内は観光客で混雑していた、テレビの旅番組や写真で見ていたがやはり本物の美しさは格別であった。 

また、ここ足利市は東の小京都と言うだけ雰囲気は良い、日本最初の大学の足利学校・寺や美術館・商工会館には書道家の「相田みつを」の展示会もあり長い石段登った丘の中腹には足利織姫神社があり、ここから渡良瀬川や足利市が一望できる。 

その上味(昼飯を食べたそば屋の味)もよし・人情(雨が降り出してきたら店から女性が出てきて傘を貸してくれた)も暖かい場所であった。

                           ――――終わり―――――

戻る